岸辺のアルバム  1977.6.24〜1977.9.30
TBS 金曜日22:00〜22:54 全15回

1974年の多摩川決壊は当時テレビで実況中継され浅間山荘以来の恐怖と興奮は今でもはっきり記憶している。 その多摩川決壊を最終局面に家庭崩壊への過程をマイホーム、不倫、受験、中絶、倒産という問題を通 して描いて行く山田太一原作の話題作をご紹介しよう。
中心となる中流家庭「田島家」の家族構成は仕事一筋、営業部長の父謙作(杉浦直樹)、専業主婦の母則子(八千草薫)、上智大学生の長女律子(中田喜子)、大学受験を控えた長男繁(国広富之)の四人家族、そしてそれぞれの心の動きを巧みに表現しながら物語は進んで行くのだ。
また非常に話題になったオープニングソング、ジャニス・イアンのウィル・ユー・ダンスはとても印象に残ってる。
そして配役が非常に良い。しっかりしたドラマ構成の中、配役がそれを更にうまく味付けしていく妙は観ていて心地よいものなのだ。皆さんとっても良かったのではないだろうか...。
さて、ご紹介だが主演の八千草薫、すべてが完璧でした。そう、素晴しい!美しい!愛らしい!で言う事なし。この前に出演した『前略おふくろ様』でおっちょこちょいの可愛い女将さん役でとっても良い味をだしていて個人的に気になっていた女優さんでしたが、今回、可愛らしさは相変わらずでプラス唾を飲み込むような、なんとも言えない中年女の香りを随所にだしてきたのだ。当時17才の私はいっぺんに参ってしまいました「あヽこれがおとなの女性の香りなんだ」とね。第一話でお風呂場を掃除する場面 のカメラアングルは画面を飛び出して突き刺さる、このドラマでひとつの彼女のイメージを決定づけた1シーンになったのだ。 また、戸惑いや恥じらい等、心の葛藤を表現豊かに演じていたのも良かった。
そして杉浦直樹、この人も上手かった。「男は外で一生懸命働けば良し、妻が家庭を守るもの」と言わんばかりの素っ気無さで家庭には見向きもしないで仕事に没頭する。
中田喜子は奇麗でした、とってもグーでした。今回はませた女子大生役で大人になろうとする子供が家庭と距離を置こうとする様を実にうまく小生意気に演じていた。
国広富之はとても若々しく、これもまた受験を抱えた高校生の心をうまく表現していたと思う、実は中田、国広当時共に24才なのだ...ね、国広さん若いでしょっ!
さあ、周りの役者を紹介しよう、風吹ジュン:何か怪し気に国広富之に近付く謎の女?(タヌキ顔なんだけどけっこう可愛いのだ)、新井康弘:国広の友人役(ずーとるびのメンバーです)、山口いづみ:こちらも美人!中田さんには負けられませんってな訳で?中田喜子を悪の道へと....。津川雅彦:国広の高校教師、村野武範:杉浦直樹の部下、沢田雅美:同じく事務員、川田時枝:杉浦の同僚の妻(ずーっとベッドの中でした)、そして北川役の竹脇無我:よく考えてみると変態的な奴なのだが非常にカッコよくダンディなのでごまかされてしまうんですな、八千草さんも他の男だったらこうにはならなかったのでは....おーっと!

そうです、ごくごく一般的な田島家の崩壊は1本の無言電話からはじまるのです。
...では、ごゆっくりお楽しみ下さい。
八千草薫(則子)
杉浦直樹(謙作)
中田喜子(律子)
国広富之(繁)
新井康弘(沖田)
竹脇無我(北川)
風吹ジュン(雅江)
村野武範(中田)
津川雅彦(堀先生)
山口いづみ(敏子)