「ただお前がいい」作詩・作曲:小椋佳 編曲:チト河内 歌:中村雅俊
俺たちの旅  昭和50年10.15 〜 昭和51年10.10
日本テレビ系 日曜日20:00〜20:55 全46回

 去年(2003年)の暮れに「俺たちの旅 30年SP」の放映を観た。 それにつられて『テレビ館』登場って所なのだが、気持ちはちょっと違う..。
そーなんだ..皆かなり年をとったなぁーと感じた。 特にグズ六こと秋野太作は髪が真っ白って事も手伝ってかもうお爺ちゃんって感じだ(実際は60才)

この「俺たちの旅」は当時青春ドラマって言えば高校生ものが主流の時に大学生主役の画期的なドラマで今までにない新しいタイプの若者のバイブル的作品となった。その若者たちがおじいさんになちゃうのか?って感じた。さらに今回、いわゆるマドンナ的存在だった山下洋子が死んでしまっているとう設定も驚きだったのだ。 何か観ていてドラマと共に役者も年とって私も年とって、昔は良かった、いや今はどーなのかなんて考えてしまった..。 「10年SP」「20年SP」の時は昔のイメージを失いたくない気持ちが強く『やめてくれー!』って感じだったが今回は 『おー、皆元気か』と声をかけたくなるほどの気持ちの変化なのだ。なんでだろーねー?? そして気持ちが動いた最大の原因は.. 浜田大造の恋人役に神田うのが出演していたが彼女のセリフがやけに気になったのだ、それはグズ六が人生も後半を迎えて生活は安定し何か人生の目標を失って昔のアパートを見に行ったりしてた、その時の彼女の言葉...

「あんまり昔の事ばっかり懐かしがってるとダメですよ、グズ六さん!」

一瞬ドキッっときた、そしてこん畜生と思った。今はどーであれ昔はたしかに良かったのだ!... よーし「俺たちの旅」を取上げて昔に戻ってみよう、そして今のカースケ、オメダ、グズ六の生き方を検証してみようと。
まあ、鼻息荒くするようなレベルではないのだが、こーでもしないと..最近腰が重たくなってきたので、ね..。

さあ、当時の「俺たちの旅」のお話と致しましょう。
「俺たちの旅」が若者のバイブルの要因として「気ままでいい加減な若者たち」しかし理想と現実、将来への不安などの若者の心の葛藤を時にコミカルにまたシリアスにうまく表現した。またタイプの違ったキャラをそれぞれの目線で追ったのも良かった。学生だけでなくグズ六のサラリーマン役もドラマの味付けには良かったのだろう。
さて配役は.. 津村浩介(カースケ)役は中村雅俊、ぴったしカンカンの役だったのだが、実は今までは違ったイメージだったようだ。 この前の「俺たちの勲章」では野性味の松田優作に真面目な中村雅俊という設定で出演していたし松田優作のドラマという印象が強い、したがって中村雅俊はこのドラマでひとつのキャラクターを確立したと言えるだろうしこれで中村ドラマを実現出来たのだと思う。そしてこの後の「俺たちの祭」や「ゆうひが丘の総理大臣」に引き継がれるのである。 また最初は中村雅俊にオメダ役の打診があったそうだが前作の「..勲章」で真面 目役をやったので違った役をやりたいと言う事でカースケに納まったようである。
中谷隆夫(オメダ)役は田中健、この時はまだ駆け出しだったのだろうが真面 目で融通のきかない若者役を上手く演じた。逆にこのイメージが離れず他の作品では違和感を感じたのも事実だ。まあそれだけハマってたという事だろう。この後の「俺たちの朝」にもちゃんと出演していました、ハイ。
そして熊沢伸六(グズ六)役の津坂まさあき、そう改名しましたがこのときは津坂さんでしたね、私的には津坂の方が良かったと思ってるんだけど、どーして変えたのですかねー?? この人いわゆる脇役の横綱級で好きな俳優のひとりなのだがグズ六役もホントにうまくハマったと思う。そーなんです、弱い男を演じさせたら完璧で、このグズ六も非常に弱いそして恐妻家なのだ。しかし中々のガンコ者でドラマの味付けに一役かっていた。
こぼれ話で聞いたのだが役者、スッタフが実に息のあった撮影現場だったそうで自然な形で撮影が進められたみたいだ、特に中村雅俊、田中健は当時いつも一緒にいたそうだ。またお酒を飲むシーンは監督お墨付きでほとんどが本物を使用したようである。 中村雅俊は言う、この三人で無かったら「俺たちの旅」はこんな素晴らしい作品にはならなかっただろうと..。 そして、このような撮影現場の雰囲気が画面を通して私達に伝わり忘れる事の出来ない作品となり今でも輝いているのだ。
その他の配役としては東大浪人生のワカメ、マドンナの洋子、紀子さん、たちばな荘家主兼いろは食堂主人役の名古屋章さん、残念ながら名古屋さん去年他界されましたがとても味のある役者さんでした、そしてその娘役の水沢有美さん等々、個々の話は本編で取り上げて行こうと思う。
「俺たちの旅」はこの三人を中心にドラマは進む、それぞれの人生を楽しみ悩みながら、そしてそれぞれが自分の道を選択していく...。
中村雅俊(カースケ)
田中健(オメダ)
津坂まさあき(グズ六)
上村香子(紀子)
森川正太(ワカメ)
金沢碧(洋子)
八千草薫(オメダの母)
岡田奈々(オメダの妹)
水沢有美(大五郎の娘)
名古屋章(いろは食堂主人)