殺人者に怒りの雷光を 74,11,2
放送
監督:工藤栄一、脚本:市川森一 出演者:加藤嘉、松山省二、木村豊幸、谷岡行二
解 説
さて、この『傷だらけ・・』今回からギヤが2速に入ったといっておきましょうかね..
キャラも固まりドラマの方向性も見え内容もスピードも充実してきましたぞ!...
さて、今回のお話は... 綾部探偵事務所、オサムアキラの他に調査員たちがいたんですね、さすが綾部さん、事務所規模の大きさを実感させてくれました...なぁ〜んちゃって、やっぱこの先オサムたち以外に役付調査員は出てくる事はないのです...まあ仲間みんな死んじゃうんで、理解はできますが、こんなテキトーな所も『傷だらけ・・』の良さなのです(-^〇^-)
内容は、ドラマとしては大マジメ!仲間が次々と毒殺されていく..犯人は誰だ!?原因不明の状況に混乱するオサムたち!...と普通
(太陽にほえろ、とか)なら、まともな作品となっていくのだが『傷だらけ・・』はやっぱちょっと違うのである。
そう!「ゴキブリ死ヌ死ヌ」なのだ〜〜〜っ!!
大マジメ本線のセカンドストーリー?として1発20万「死ヌ死ヌガール」の存在があるのです。薬局でかっぱらってきた「死ヌ死ヌガール」の実寸大パネルをペントハウスに持ち込み、ドラマの随所にそのパネルを登場させる。いつもながら動機のレベルが低い、もちろんオサムは大マジメなのだが...でもわかるんだなぁ〜これが、、、若い時ってしょうもない事に夢中になって他人が見たら滑稽でバカバカしい...でも本人必死でマジメ。こんな下らない事をオサムアキラは僕らの代わりに演じてくれてるんじゃないのかな、なんて思ったりする...こういうのもやっぱ魅力のひとつなのであろう..。
そしてラストのトルコ(ソープ)の一幕も苦笑ものでその後のアキラの入浴シーンは爆笑もんとなっている...私の大スキな大スキなラストシーンなのです...。
話が前後しますが、ちょっと仲間を紹介しておきましょうか...。 リュウスケ役の松山省二さんはこれ以前にも多くの作品に出演してましたが「テレビ館」的に言えば『怪奇大作戦』でレギュラー出演してましたね..そー言えば辰巳さんもレギュラーだったんです..。また『時間ですよ』の一作目で松の湯の嫁、芙美(大空真弓〜松原智恵子)の弟役で何回か出てました。その芙美の夫役は実の兄松山英太郎さんでした。英太郎さんは残念ながら1991年に食道ガン、48才の若さで他界されております。とても良い役者さんねした..残念です...。
ユウジ役は谷岡行二さん、そうです『飛び出せ!青春』で生徒の谷岡役で出ていました。第40話「オレは谷岡だッ!!」は知る人ぞ知る興味ある回となっています。
ミツオ役の木村豊幸さんはなんて言っても元祖学園ドラマの生徒代表みたいな人でしたね!『青春とはなんだ』『これが青春だ』『でっかい青春』と立続け3作にレギュラーで生徒役を演じました。ひょうひょうとした役回りでドラマの味付けに一役かっていました。またウルトラマンタロウでは隊員役で出演していました。
もうひとりノブオと言うのがいるのですが最初に死んでしまいセリフもありませんでしたね..。
ノブオの後3人は次々と死んでいくのですが、これがまたドラマの性格上なのでしょうがシリアスになりきれず滑稽に映ってしまう...
どーしてだろう?私、ちょっと考えてみました....
そーかそーか、少し分かってきたぞ....どーみてもオサム以下連中は出来(育ち)が悪いしオツムも弱い、態度や言葉づかい等で容易に想像つく..そーです素行全体が滑稽なんだと気付いたのです。こんな場面
がありました..皆が綾部事務所に集まり仲間の死に動揺、そして心配している時に京子ちゃんだけがただ黙々とクールなのです。一緒にされたくないと言う拒絶がヒシヒシと伝わる、同じ部屋にいるのもイヤだ!という感じなのだろう。こんな場面
でも彼らは拒絶されている事に気付かないし彼女がおかしいと思っている...
ミツオ「あの女、綾部さんとデキているんじゃないのか?」
アキラ「なんだあの女、あれホモかい、え〜ッ!」
オサム「バカタレ〜!レズもホモもわかんないのか〜このやろ〜!、あれはな〜!、、ホモって言うんだよ〜ッ!」
・・・・・これじゃ〜、、誰でもイヤになっちゃうだろう...きっと。
当時、中学や高校を含め若い世代に支持を得た『傷だらけの天使』の魅力は中心人物たちのレベルの低さにあるのではないだろうか?...しかしいつもいつも『熱い』奴らに私達は引き付けられたのかもしれない。
また観ている側が同じ匂い(レベル)を感じた場合等もあるだろう...「これじゃ俺とかわんないじゃん」「俺よりひでーなこいつ」等々うなづきながら観た人たちも多いと思われる(私はそーでした!)
一般社会からキッパリ差別され不器用に生きるしか出来ない若者達のその不格好な一生懸命さを表現すると、このような滑稽な映像になるのかもしれませんな〜〜、、。
さてさて、 サビの部分では加藤嘉さんがヤクザの親分さんで登場し、辰巳さんの意味不明のヅラ取り謝罪も必見です!
サスペンスタッチで進行していく内容にコメディ調を随所に入れドラマとしての魅力に『傷だらけ・・』ならではのユーモラスな部分がうまくマッチさせた実に小気味良い仕上がりになっている今作。市川森一さんの脚本を今回初登場の工藤栄一監督が丁寧に作ってくれました!お楽しみに..。 |
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