第2話、悪女にトラック一杯の幸せを       74,10,12 放送
監督:恩地日出夫、脚本:永原秀一、峯尾基三   出演者:緑 魔子、江原達怡 

 ストーリー
今日もペントハウスのオサムに貴子から仕事の依頼が来た。ある女のボディガードをたのむ。その女の即席の恋人になり、かつての男を寄せつければ良いと言う内容だ。オサムは目印のペンダントを首に掛け指定の場所で依頼人恵子(緑魔子)と会うが、間もなくして怪しい男たちに捕われてしまう。そしてガレージに連れ込まれ拷問を受ける。「ブツはどこへ隠した?」と言うがオサムには理解出来無かった。期をみて奪出を計るオサムに隠れて状況を見ていた辰巳が助けをだす。無事逃げ出したオサムはブツは何かと恵子を問いつめる。やがて観念した恵子は不正輸入された銀製の高級食器である事をオサムに話す。またそれを知った一味がその食器を別 の問屋に売るため盗んだ事を打ち明ける。そしてその食器を恵子がさらに盗んだのであった。一味に追われた恵子はボディガードを雇い逃げ切ろうとしたのだった。それを知ったオサムはアキラも仲間に入れ3人で食器を売りさばき儲けようと企てるのだが...。
 

 解 説
長い長いインターバルを経て、いよいよ第2話のスタートです。
さあ、今回の注目は何と言っても「緑魔子」さんに尽きますね。 けだるく、そして曰く付きの過去の屈折した心を上手に演じてくれました。 そしてオサム、アキラとの妙な関係が次第に連帯感になっていく描写なんかも非常によいですね。

このようなゲストとのセッションがひとつのパターンになりこれから先の話に何度も使われています。 「お姉さん大学出?」「いや中学出」のやり取りやオサムの中学卒業やアキラの中学中退が取り上げられている。 また、食器のセールスをアキラにやらせる場面もオサムのセコイ所、アキラの単純な所が表現されこれからの土台となっています。

見せ場となる「緑魔子」の脱ぎは見事だ、そして官能的に観ている側をそそらせる演技はとてもリアルですよ。 全作の中でもベストシーンのひとつと言って良いだろう「緑魔子」の脱ぎ場面 は必見です。 またカメラワークも上手く、思わずこちらまで動いてしまいそうになる程にドキドキものなのです。 そしてアキラの気持ち...「わかるんだな〜」、、気を使いヘッドホンを付け音楽に没頭している姿...実は音は出ていない、これも思わず微笑んでしまう。 そんなアキラをベットへ誘うケイコ役の緑魔子、そして3人でベッドで横になる姿...とても好きなシーンですね..。

またここでも女慣れしているオサムとウブなアキラの感じがよくわかる(典型的に二人の女観はちがうのだ) 人生観、女性観の微妙な違いがこの先のドラマのアクセントとして何度も使われている...この二人の人間象が只のフィクションドラマを超えて我々の心に飛び込み、それぞれに深く感情移入したのかもしれない..。 そういう所も含めこれから、わき役アキラが人気となる要因なのかもしれない。 余談ではあるが話が進んで行く中でのアキラの女扱いが変化していく様子もこれまた面 白いのです。

そして、あっけなく寂しく彼らの関係は終了する...毎回寂しく終わる「傷だらけの天使」のこれもパターンでした。 しかし、それでも二人はめげないのです。新しい経験をして二人は強く逞しくなって行くのです。 この「傷だらけ・・」は青春の空しさ、けだるさ、そして不器用でぎこちない刹那的な所をとても上手く表現出来た作品としては他のどれより長けているいるのではないでしょうか。 

ところで、もうひとりのゲスト江原達怡さん、こちらも私にとっては嬉しい配役です。 東宝の俳優さんで青春映画等に出演していましたが、なんといっても若大将シリーズのマネージャー江口君でおなじみですね。卒業後は若大将の妹(照子)と結婚(婿養子)、田能久(すきやき屋)の跡取となる設定です。 個人的に兄の影響で若大将(加山雄三さん)にはまって(もちろん今でもファンです)いたので「傷だらけ‥」での江口君の登場は喜ばしいかぎりでした。...しかしここでの役どころは、ちょっと冴えませんでしたかね。

そしてラストでのオサムとアキラの食器叩き売りも印象に残るシーンとなりました。 こちら駒友TOPページのバックの回想フォトとして使用した程、私としては気に入っております、はい。 西郷さんの前で大声で叩き売るショーケンの演技は抜群のセンスで私たちを魅了したのです。

緑 魔子
江原達怡
高級食器は3人の手に..
セールス役はアキラちゃん
名場面となったシーン
食器を叩き売るオサムとアキラ